窓の外を行き来する傘がいつの間にかカラフルになった。
この間傘を買い替えた。
今まで使っていた傘の留め具が壊れて見た目が歪になってきたから。
ベージュの布製の傘で、いつから使ってるんだっけ
…たしか…17年?くらい?
えっ、随分長持ちしたなぁ…
LOFTかどこかで買った物で、いいとこ二千円とかそんなもんだ。
それが17年保ったのか…
この傘を買った頃って、世間に透明なビニール傘が普及した頃で、見渡す限り、みんなビニール傘さしてた。
正直、そんな傘立ての中で布製の傘はよく目立ったのを覚えてる。
周囲の「傘盗られた最悪ー」とかそんな声を聞きながら、私の傘はずっと何事もなく手元にあった。
あの頃は、みんな同じ傘なんだから盗る方も抵抗がないんだろうし、盗られても仕方ないのじゃないかとぼんやり思ってた。
そんなことを記憶しているせいか、傘の流行が変わって景色も変わったことをしみじみ思う。
道行く傘の色が増え、模様が増え、クスッと笑えるような絵が書いてあるものも行き過ぎていく。
そういえば、映画バイオハザードの4のオープニングがスクランブル交差点の雨の日だったけど、景色が日本じゃないと感じたのは傘のせいだった。
ビニール傘が写り込まなかったんだ。
今なら、あの現実があの景色に近づいたんだろうか。
ついでにお節介だけど、切実な呟きを。
黒っぽい服装をしがちな男性は、白い傘を持つことを奨めたい。
車の運転をするドライバーの視界に、雨の夜に黒ずくめは見つけられなくて困るんだ。