映画「トロン:オリジナル」人間につくられたプログラムから人間を見ると?
映画「トロン:オリジナル」、1982年作なんだけど面白いなぁ。
主人公のゲームプログラマー、フリンは盗作された自分の作ったゲーム(超大ヒット作!)の著作権を奪い返すために会社のコンピューターにハッキングをかける。
ところが、意思をもったプログラムに反撃され、プログラムの中に取り込まれてしまう!
電脳世界でフリンは、同僚がつくったプログラム:トロンに出会う。
登場人物の顔が見分けづらいのと(髪も隠してるし)、衣装も現代と比べるとどうしても手作り感溢れててキャラクターが判別しづらかったかな。
もっと顔に特徴のある俳優と衣装のシルエットで差を出した方が観やすかったはず。
電脳世界に入る前に、現実世界で2Dゲームとしてバイクゲームを見せている脚本はうまかった。
勝つために必要なのは戦略やタイミング、広い視野であることがわかってるから、
電脳世界に入ってから登場人物が実際に戦う様子が面白い。
スポーツもそうだけど、ルールを知らないものは面白く観戦することができないものだ。
eスポーツや囲碁や将棋でも、うまい解説がいるかどうかで試合を楽しめるかどうかって大きく影響するものね。
CGがちょっと古いんだけど、アニメっぽくてむしろ画面全体が見やすいしわかりやすい。
レガシーは黒い背景が多いから画面が見辛い感じあったからなぁ。
CGがリアルで美しかろう=良かろうではない。
古かろう=いまいちだろうとは限らない一例。
この良さはぜひBlu-rayで!
戦艦の輪郭が赤でとられてるのが、細田守作品の電脳世界(「サマーウォーズ」、「竜とそばかすの姫」など)を思い出すわぁ……
細田監督は宗教に関わる美術作品から着想しているらしいけど。
電脳世界では、現実世界の人間のことを「ユーザー」と呼ぶんだけど、
トロンがフリンをユーザーだと知った時に
「ユーザーならすべて予定の行動だろう」とフリンが苦戦苦闘していることに疑問を呈する。
フリンは「気づかないうちに計算違いをすることもある。失望させるがユーザーの場合も同じだ」と返す。
プログラムたちにとってユーザーは神様だ。
自分たちを目的を持って設計し生み出した、文字通りの創造主である。
プログラムたちは自分たちが計算違いをするのは普通だと思っているが、作り手は完璧だと思っている。
でも、実はそんなことはなく、間違いを犯すことは誰にとってもあるものだ、ということをトロンは知り、「妙なものだね」と複雑そうに発している。
プログラムとユーザーだけじゃなく、
人間は自分の不完全さを嘆き、他者が完璧であるように見えてしまうもんだ。
相手が自分に完璧を求めていると思い込んでしまうと、苦しくなる。
完璧にいないといけないと思うと、失敗を認められなくなる。
でも、ちょっとだけ見栄を張るのをやめて
正直なところをさらけ出してしまえば、
相手も自分と同じ、不完全で失敗することがある存在だってわかる。
「トロン」の物語は、
プログラムと人間の物語だ。
それは、不完全さを受け入れる物語でもある。