映画「ミネハハ」鑑賞記録
パッケージのあらすじがなかなか面白そうだったので鑑賞。
森の中の寄宿学校で育つ少女たち。
学校と近くの森と、バレエの練習。
美しく成長した少女たちのもっぱらの優先事項は「侯爵」のために催されるバレエ公演で、どの役に配されるか。
群舞は、男役は、そして主役になるのはだれか。
そんなある日、こっそり校舎の立ち入り禁止区域に入り込んだ少女が姿を消した。
それから一人、また一人と閉鎖的な環境のひずみに飲み込まれていく少女たち。
そもそも、なんのために少女たちは集められ、育てられているのか?
タイトルの「ミネハハ」は「笑う水」の意。
森の水辺にさざめき笑う少女たちの姿は、ギリシャ神話のニンフのように美しい。
少女たちはいつまで無邪気に笑っていられるのか。
ラストシーンにご注目。
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とにかく冒頭からずっと不穏。オープニングで踊るバレエシューズに血が滲んで床を汚すところからすでに不穏。
ミステリーかと思ったけれどサスペンス寄りである。
集められ育てられる子供、というと悲劇的な目的が裏にある作品が多い。
例えば、最近実写化も決定した「約束のネバーランド」
ノーベル賞作家、カズオイシグロの代表作「わたしを離さないで」
このあたりが有名なので、さてこの作品はどんな真相が…と身構えて鑑賞したが、
上記2作品のインパクトが強すぎてハードルを上げすぎてしまった。
極めて悲劇的、非人道的な物語である点は間違いないのだけれど。
女ばかりの生徒と教師しかいないような環境で、密かに少女たちは逢瀬とふれあいを重ねるようになっていく。現代ならレズビアン的、というべきなのだろうが、禁じられたふれあいに踏み出す彼女たちの背徳的な風情は「百合的」と表現したい。
背徳感や葛藤の様は「めぐりあう時間たち」を彷彿とさせる。時代感のせいだろうか。
この「ミネハハ」と同原作でもう一作品あるとのこと。
こちらの評価が高いそうなので、時間を見つけて見てみてもいいかもしれない。
備忘録として貼っておく。